腰が痛くなるなど体の部分にちょっとした痛みが出たり、足首のねんざ等軽いけがをした時、あなたはどんな医療機関を受診しますか?
真っ先に思い浮かぶのが、整形外科と接骨院ですね。
骨折など外科的な処置や治療が必要な場合は、迷うことなく整形外科を選ぶと思いますが、症状が軽いときはどうでしょうか。
ここでは、整形外科と接骨院の違いについて紹介しますので、あなたの症状ならどちらを受診するかを決めるときの参考にしてください。
整形外科とは?
1.整形外科に必要な資格は?
整形外科は、医学の一分野であり、医師でなくては、整形外科専門医になることはできません。
2.整形外科ではどのような病気を診てくれますか?
整形外科は、背骨と骨盤というからだの土台骨と、手足を主な治療対象にしています。
具体的には以下のような病気やけがです。
・スポーツによるけが
・交通事故による外傷
・労働災害などに代表される打撲、捻挫、骨折など
・変形などを伴う加齢による疾患、骨粗鬆症、関節リウマチ、痛風
・運動器の腫瘍
・運動器の先天異常など先天性疾患など
その中でも、以下のように多数の専門分野があります。
大きな病院でなければこれらの名称をあげていないかもしれませんが、整形外科の診療範囲になります。
・背骨と脊髄を扱う「脊椎外科」
・上肢を扱う「手の外科」と「肩関節外科」
・下肢の「股関節外科」
・「膝関節外科」と「足の外科」
・スポーツによるけがや障害を扱う「スポーツ医学」
・「リウマチ外科」
・腫瘍(できもの)を扱う「骨・軟部腫瘍外科」
・骨粗鬆症などを扱う「骨代謝外来」
3.どのような検査・処置・治療をするのですか?
整形外科はレントゲン検査、手術、投薬を行うことができます。
レントゲン、CT・MRI、血液検査、その他の必要な検査を行い、症状の原因をきちんと特定し、そこに治療を行うのが整形外科の特徴で、接骨院などでは行えません。
4.健康保険は適用されるの?
基本的には、すべての診療(一部例外あり)に健康保険を使えます。
接骨院とは?
1.接骨院に必要な資格は?
接骨院は、ほねつぎとか、接骨師と呼ばれることもありますが、正式には、柔道整復師という名称で、医師ではありません。
高卒後、3年間専門学校に通って、柔道整復師(以下柔整師という)の国家試験に合格したら、直ちに開業するのが普通のようです。
柔道整復師にはレントゲン検査、手術、投薬はできません。
2.接骨院ではどのような病気を診てくれますか?
・接骨院(柔道整復師)が施術できる病気は、安全性を考え、法律で制限されています。
医師ではないので医療行為を行うことはできません。
柔道整復師が行う治療は施術と呼ばれて、その業務範囲は、柔整師法により規定されています。
それによると、打撲、捻挫、脱臼、骨折等の外傷に対して、外科的手段、薬品の投与等の方法によらないで、応急的もしくは、医療補助的方法により、その回復を図ることを目的として行うとされています。
つまり、医師の同意なしに柔整師が扱えるのは、捻挫と打撲だけということになります。
3.どのような治療をするのですか?
接骨院は整形外科と違い、脱臼や骨折に対しての治療はできないことになっています。
ですから、基本的には、物理療法、マッサージ、神経調整、バランス調整、中心軸調整など身体調整が中心になります。
(各接骨院によって施術内容は変わります)
4.健康保険は適用されるの?
整骨院や接骨院にはよく「各種保険取扱」などの看板がかかっていますが、単なる肩こりや筋肉疲労などには健康保険は使えません。
整骨院・接骨院で健康保険を使えるのは次の5つに限られます。
まず、「外傷性」で「急性または亜急性」の「出血を伴わない」けがであることが条件です。
・ ねんざ
・ 打撲
・ 挫傷(肉離れ)
・ 骨折(医師の同意がない限り応急手当のみ)
・ 脱臼(医師の同意がない限り応急手当のみ)
5.接骨院で薬は出してもらえるの?
医師ではないので投薬はできません。
ただし、湿布薬や一部の塗り薬は出すことができます。
6.整体と接骨院は同じ?
整体と接骨院は同じではありません。
整体にははっきりとした資格がなく、誰でも名乗ることが出来ます。
そのため当然保険が使えず、治療内容に制限はありません。
業務内容としては矯正やマッサージを行っているようですが、専門知識を持たない人が施術を行っている所もあります。
自己責任で通院することになります。
どちらで受診するのがいいの?
整形外科などの医療機関(病院・診療所)では、医師が外科手術、X線検査、投薬などの「治療」を行います。
自覚症状が痛みであっても内科的な病気も考慮に入れて診断をしますので、重大な病気を発見できることもあります。
ですから、この機会にきちんと検査をして隠れた病気がないか調べてもらおうと思えば、整形外科になります。
接骨院ではそのような検査はできないので、基本的には痛みを和らげたり体のバランス調整をしたりといった対症療法的になります。
体に何か不調が生じた場合、まずはその不調の原因が何かを突き止めないと治療も始まりません。
その意味では、初診は整形外科をおすすめします。
整形外科で原因をつきとめ、どのような治療をするべきか説明を受けてから、どちらに通うか検討するのがいいのではないかと考えます。
◆ 整形外科、接骨院に通うときの注意点
同時期や同じ日に整形外科や他の接骨院、整骨院での同じ箇所の掛け持ち保健治療は出来ません。
ただし、一度治療を受けてみて、あまり治療の効果が実感出来ない場合、他の治療院にて健康保険を使用して治療を受ける事ができます。
まとめ
整形外科と接骨院は、同じようなものだと考えていませんでしたか。
しかし、両者には、決定的な違いがあることはわかっていただけたかと思います。
では、どこがいいのか? という点ですが、それはあなた自身の判断にゆだねるしかありません。
きちんと検査をし、医師の診断を受けて治療をしていきたいと考える方は、整形外科の受診をお勧めします。
患者さんが、どこを訪れるのか、医師を受診するか、柔整師を受診するかは、まったく自由です。
その施設の性格の違いと、治療できる病気の範囲を正しく理解して、自己責任の原則で選んでください。
自己責任の原則とは、自由に選択できると同時に、その結果にもみずから責任を持つという事になります。
後で後悔しないためにも、賢い患者さんになりましょう。
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