冬風邪とは言いませんが、「夏風邪」という言葉はよく聞きますね。
特に「夏風邪」という言葉があるということは、夏風邪に特徴的な原因や症状があるのでしょうか。
また、大人と子供では違いはあるのでしょうか。
ここでは、大人の夏の風邪の原因、特徴と症状、対処法について説明します。
夏風邪の原因、特徴と症状は?
夏風邪は、冬にひく風邪とは原因となるウイルスが違うため、症状も冬のかぜとは違っています。
以下に、夏風邪の特徴をあげてみます。
(必ずしもすべての症状があらわれるわけではありません)
◆呼吸器と腸で繁殖し、のどの痛みや発熱、ときには激しい咳などの症状を引き起こす
◆ウイルスによっては、口の中にポツポツと水疱ができたり、のどが真っ赤に腫れるような強い炎症を引き起こす
◆下痢や腹痛など、お腹の不調も多く見られる。
◆治るまでに時間がかかる、長引くことが多い
夏風邪のウイルスには効果的な薬がなく、抗生物質も効きません。
また、夏風邪の原因となるウイルスはお腹の中で繁殖することが多いので、体外に排出されるまで時間がかかります。
症状が長引くことが多いのは、このためです。
◆抵抗力の弱い子どもがかかりやすいが、大人にも感染し、大人が感染すると扁桃炎や肺炎など、症状が重くなるケースもある
夏風邪の対処法は?
夏風邪のウイルスには効果的な薬がなく、抗生物質も効かないということは前述しました。
かかってしまった場合は、以下のような方法で薬で回復を目指します。
◆十分な睡眠を取って安静にする
部屋はエアコンなどで快適な温度に保ってよく寝られる環境を整え、体力の消耗を防ぐことが重要です。
寝ているところが冷えすぎないよう、エアコンの温度は高めに設定し、タイマーなども活用しましょう。
◆栄養価の高い食べ物で体力をつける
薬によって直接ウイルスを退治する治療ができないので、体力と免疫力をつけて体内のウイルスが便と一緒に出ていくのを待つしかありません。
食事は、のどの痛みがある時は飲みこむこともつらくなるので、喉を通りやすく栄養価の高いものを摂りましょう。
おかゆやうどん、ゼリー、豆腐など、柔らかくのどへの刺激が少ないものがいいですね。
冷たいヨーグルトやアイスクリームなどもおすすめです。
ただし、冷たい食べ物を食べ過ぎると、お腹を下したり体を冷やす原因にもなるので注意してください。
まったく食べられない程症状が重い場合は、病院で点滴をしてもらうようにしてください。
◆水分補給をしっかり行う
発熱や下痢などにより脱水症状が起こりやすいので、こまめに水分補給をしましょう。
常温の水やぬるめの白湯、経口保水液やスポーツドリンクがいいでしょう。
のどの痛みや下痢などの症状がひどくて食事や水分摂取ができない場合は、病院で点滴治療を受けることも考えなくてはなりません。
◆熱があるからといって体を冷やしすぎない
体温が上がった状態はウイルスが活動しにくい環境なので、ウイルスの活動を抑えるためにはある程度の熱が必要です。
我慢できる範囲までは、解熱剤の使用は控えましょう。
また、熱が上がっている時は寒気がすることがあるので、体を冷やすのは、熱が上がりきって寒気を感じなくなってからにしてください。
汗をかいたらこまめに服を着替えて、体が冷えるのを防ぎましょう。
◆咳・鼻水・喉の痛みには対症療法で対抗する
原因となるウイルスには特効薬がなくても、つらい症状を緩和する方法はあります。
・民間療法
のどの痛みや咳には、昔から用いられてきた方法のひとつに「しょうが湯」があります。
私が子供の時に咳止めとして飲ませてもらったのは、レンコンのしぼり汁にはちみつを混ぜたものでした。
私にはこれが特効薬で、少し飲むだけで咳が止まりました。
その他にも、ご家庭で受け継がれてきた治療法があると思います。
咳やのどの痛みでつらい時には、一度試してみてください。
・市販の薬
出ている症状を和らげるだけであれば、市販の薬でも対応できます。
その場合は、薬剤師に「鼻水や咳などの症状を軽くしたい」などの希望を伝えて、最適な薬を選んで下さい。
しかし、下痢止めの使用には注意が必要です。
下痢の症状は、腸内のウイルスを便と一緒に体外に排泄するために起きている体の防御反応です。
下痢止めを飲んでしまうと、ウイルスを腸に留めてしまい、排出が遅れて回復まで時間がかかってしまいます。
ただし、体力を奪うようなひどい下痢の場合は例外で、下痢止めを服用した方がいい場合もあるので、このような時は早めに医師に相談しましょう。
また、高熱が続いたり、1週間経っても症状が治まらない場合も、病院で診察を受けることをおすすめします。
◆家族間で感染しないよう予防する
夏風邪の原因となるウイルスは、咳やくしゃみなどで感染します。
家族に夏風邪の患者がいる場合は、手や口内に付着したウイルスを体内に入れないように、普段から手洗いとうがいをしっかり行いましょう。
のどの調子がおかしいと感じたら、それ以上ウイルスを寄せ付けないよう、よりていねいに手洗いとうがいを行うことが大切です。
まとめ
夏風邪には特効薬がないため、
①体力と免疫力をつけること
②対症療法で症状を軽くして体力を消耗しないようにすること
③ ①②を行いながら自然回復を待つ
が基本の治療方法になります。
暑い夏には夏バテの心配もあり、そうなるとますます体力が低下してしまうので、夏バテを予防する意味でも体力をつけることはとても大事になってきます。
体力をつけ、夏バテを防ぐためには、
①十分な睡眠
②バランスのとれた食事
③こまめな水分補給
を実践してください。
夏風邪を少しでも早く治す方法は、とにかく体力をつけることにつきます。
それでも、高熱が下がらない、下痢がひどい、のどが痛くて水分や食べ物がのどを通らないなど症状が重いときは早めに医師に相談しましょう。
普段から上記のことに気を配って、夏風邪を引いても少しでも早く治せるようにしたいですね。