化粧品における無添加とは、どういう意味でしょうか。
化粧品は無添加だと安全なのでしょうか。
また、化粧品と医薬品はどのように分けられているのでしょうか。
ここでは、化粧品の法的な定義から、原料と成分について説明し、無添加=安全かどうか検討していきます。
化粧品とは?
1.化粧品の種類
私たちが普段お店で目にする化粧品は「薬機法(旧:薬事法)」という法律で管理されています
薬機法では、メイクやスキンケア用品、ボディケアやヘアケア用品、香水や化粧石鹸、歯磨きペースト、バスソルトなどが「化粧品」とされています。
(「薬用」歯磨きは医薬部外品であって、化粧品ではない)
(注)医薬部外品とは?
薬事法の一区分で、医薬品と化粧品の中間のような性質を持つもの。
薬用化粧品、指定医薬部外品、防除用医薬部外品(例:殺虫剤や殺鼠剤)などを含む。
医薬品と違い、薬剤師や登録販売者のいない店舗でも売買ができる。
「化粧品にももっと効き目があるものが欲しい」という消費者の声から、近年では特殊配合成分を添加した薬用化粧品(医薬部外品)の研究開発が盛んになってきています。
2.化粧品の効果効能(薬機法による)
人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なもの
薬機法で許されている化粧品の効果効能と宣伝に使うことが許されている表現は?
化粧品の効果効能の範囲
1.頭皮、毛髪について
清浄にし、すこやかに保つ
毛髪にはり、こしを与える、しなやかにする、つやを与える
うるおいを与える・保つ
フケ、カユミを抑えるなど
2.肌
皮膚を清浄にする、ニキビ、アセモを防ぐ
キメを整える
すこやかに保つ
肌荒れを防ぐ
皮膚にうるおいを与える
3.爪を保護する、健やかに保つなど
4.口唇の荒れを防ぐ、乾燥を防ぐなど
医薬品と化粧品の違い
医薬品:病気やけがの治療のために、一時的に使うもの
目的のためにはまれに副作用が出ることもやむを得ない
化粧品:体を清潔にたもったり美しく装うために日常的に使うもの
副作用はあってはならないので、劇的な効果がある成分を配合できない
(注)化粧品には劇的な効果が許されていないので、「シミ・シワを消す」「ニキビが治る」「アトピーに効く」などの宣伝は誇大広告となり、薬機法(旧:薬事法)違反に問われます。
これは薬用化粧品と呼ばれる医薬部外品も同じです。
化粧品の原料
化粧品はお肌に毎日使うものなので、まず考慮されるべきは「安全性」です。
そのため、化粧品メーカーは「はたらき」だけで原料を選ぶのではなく、厚生労働省が定めた「化粧品基準」「ポジティブリスト」「ネガティブリスト」などを厳格に守り、メーカーの自己責任において原料の安全性を厳しくチェックしています。
ネガティブリスト:化粧品に使えない成分のリスト
ポジティブリスト:配合量や用途が限られている成分のリスト
ネガティブリストおよびポジティブリストに入っていない成分なら、企業がその安全性を十分に確認した上で自由に化粧品に配合でき、その中にもお肌の改善に役立つものがたくさんあります。
化粧品原料の主なものは油脂・ロウ類等の油性原料、界面活性剤、保湿剤、防腐剤、殺菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、色材類、香料などです。
また、ビタミン、アミノ酸、ホルモン、天然抽出物などの特殊添加成分もあります。
それらが、お肌をうるおす、使い心地や機能性を上げる、品質を安定させる、メイクアイテムの色数を増やす…など、さまざまなはたらきをしてくれています。
化粧品における無添加とは?
2001年の薬事法の改定により、現在は、配合している全ての成分を容器や外箱に表示することが義務づけられています。
それまでは、アレルギーの危険性が認められた102種類の「化粧品表示指定成分」だけが表示を義務づけられていました。
一般的に、無添加化粧品とは、これらの102種類の成分を含んでいないもののことを指します。
しかし、「化粧品表示指定成分」が制定されたのは、1980年で、現在までの30年の間に、安全性が不確かな成分が新しく登場するなど、旧表示指定成分は、意味をなしていないのが現状です。
つまり、無添加化粧品は、実際には、現実に即していないため、必ずしも安全とは言えないのです。
例えば、化粧品には、細菌やカビが繁殖しやすい成分が多く含まれています。
「防腐剤」を配合することで、化粧品がカビたり、腐敗したりするのを防ぐのです。
また、傷んだ化粧品を使うことで起こる肌トラブルを避けることに役立っています。
また、人によっては、無添加化粧品に含まれる天然成分で、アレルギー反応を起こしてしまうこともあります。
その意味を正確に理解せずに、無添加なら安全だというイメージを持ってしまう方が多いようです。
無添加にこだわるよりも、自分の肌に合わない成分を知り、それが入っていない化粧品を選ぶことのほうが重要なのです。
まとめ
化粧品の原料について、根拠や出典があいまいで信頼性に乏しい情報が氾濫しています。
このような不確かな情報に惑わされずに、ネット上や各メーカーが公表している成分辞典などを活用することで正しい情報が得られます。
お肌にとって良い化粧品を選びたいなら、まず始めに「全成分表示」を確認することです。
そして、化粧品に関する基礎的な知識を持って、自分なりに許容できるものか否かを判断しましょう。