あなたは平均何時間睡眠をとっていますか。
大人の必要睡眠時間は7時間とも8時間とも言われています。
睡眠の質にもよりますが、絶対的な睡眠時間の不足は、様々な病気の原因になるということが分かっています。
ここでは、睡眠不足による弊害、睡眠不足かどうかの判断基準、睡眠不足を解消する方法について説明します。
睡眠時間が不足するとどんなことが起きる?
毎日6時間寝ていると睡眠時間は十分足りていると思っている方は多いのではないでしょうか。
睡眠の質には問題がないとしても、6時間の睡眠では十分だと言えないというデータがあるのです。
・・・・・・・以下、「NHKスペシャル 睡眠負債が危ない」による・・・・・・・
◆脳の働きが、知らないうちに低下する?
米ペンシルバニア大学などの研究チームが行った実験によると、「6時間睡眠を2週間続けた脳は、注意力や集中力を調べるテストにおいて2晩徹夜したのとほぼ同じ状態」ともいえるという結果が出ています。
しかも驚くことに、6時間睡眠のグループは、脳の働きの衰えを必ずしも自覚していませんでした。
徹夜した場合と比べ、わずかな睡眠不足がじわじわ蓄積した場合、なかなかその影響について自覚できないのです。
◆がん・認知症のリスクが高まる!?
①最近の研究で、睡眠負債は脳のパフォーマンスの低下にとどまらず、さまざまな病のリスクを高めていることがわかってきました。
いま注目されているのが、睡眠とがんの関係です。
2014年に米シカゴ大学が行った研究では、実験的に睡眠を不足させたマウスでは、がん細胞が増殖しやすくなることがわかりました。
睡眠負債は、免疫システムの働きに影響を及ぼし、結果としてがんのリスクを高めている可能性が見えてきました。
②もうひとつ注目されているのが、睡眠負債と認知症のリスクとの関連です。
スタンフォード大学の西野精治さん(睡眠生体リズム研究所長)らは、マウスを使った実験で、睡眠中にアミロイドベータと呼ばれる脳のごみが排出されることを突き止めました。
アミロイドベータは、認知症の最大の原因であるアルツハイマー病の原因物質とも言われており、発症の20-30年前から蓄積するといわれています。
つまり、働き盛りの時期に十分な睡眠をとっていないと、数十年先に認知症になるリスクを高める可能性があるのです。
・・・・・・・引用ここまで・・・・・
癌と認知症のリスクについては、すぐにはその影響は分かりにくいでしょう。
しかし、「脳の働きの低下」については、2週間の6時間睡眠が続くことで、すでにその弊害が表れていることになります。
さらに、睡眠不足は以下のような悪影響を及ぼします。
◆心臓病のリスクの増加
睡眠不足が続くと体に疲労が蓄積していき、高血圧や動脈硬化にも繋がります。
その結果、心臓に負担がかかり心臓病のリスクが増すということになります。
◆脂質代謝機能異常
満腹感を感じるメカニズムは、体の脂肪細胞から出ているホルモン(レプチン)にあります。
このホルモンには、食欲をコントロールする働きがあり、十分に食事をとったら、満腹なので食べることをやめるように脳へのサインを送っています。
しかし睡眠不足が続くと、このホルモンバランスが崩れ、反応が悪くなってしまうため、満腹サインが送られません。
そのため、常に食欲旺盛の状態になってしまい、肥満につながるのです。
◆うつ病
うつ状態と睡眠時間とは深く関連しています。
睡眠時間が「7時間以上8時間未満」の人はうつの割合が最も低く、「7時間より短く8時間以上」の人はうつの割合が高いのです。
睡眠不足かどうかの判断は?
・・・・・・・以下、「NHKスペシャル 睡眠負債が危ない」による・・・・・・・
では自分に「睡眠負債」があるかどうか、どうすれば見極められるのでしょうか?
ひとつの目安は「寝だめ」が起きるかどうかです。
週末、光が入らないよう寝室の遮光をしっかりして、時計や携帯など時間がわかるものを持たずに寝てみます。
そして眠気がなくなるまで、ぐっすりと寝ます。
(目が覚めても眠気が残っている場合は、2度寝してください。)
もし睡眠負債がある場合、こうした睡眠に理想的な環境では、体は自然に負債を返済しようとします。
つまり、普段より睡眠時間は長くなるわけです。
番組に出演した専門家によれば、「遮光して時間を気にせず寝た場合に、睡眠時間が通常より2時間以上長くなった場合は、睡眠負債があると思ったほうが良い」ということです。
・・・・・・・引用ここまで・・・・・
自分で試してみたところ、「寝だめ」時間は1時間半でした。
ただし、完全に音を遮断できる状態ではなかったため、実験結果は必ずしも正しいとはいえないかもしれません。
この実験を行うには、周りの環境を整えるのがなかなか難しいように思いました。
そんな方のために、簡単なアンケートで判断する方法も紹介してくれています。
睡眠不足を解消するには?
・・・・・・・以下、「NHKスペシャル 睡眠負債が危ない」による・・・・・・・
「週末の寝だめ」に頼ろうとすると生活リズムが乱れ、平日の睡眠に支障が出てかえって負債を増やしてしまうリスクが高いのだそうです。
お勧めするのは、平日の睡眠時間をいまよりちょっとだけ多めにし、週末も同じ時間をキープすることです。
1日に必要とされる睡眠時間は年齢によって変わりますが、20~50代の働き盛りの世代であれば、1日に7~8時間程度とされています。
いまの自分の生活を振り返り、睡眠が6時間以下であれば、少しでも延ばせるように暮らしのスケジュールを見直してみたほうが良いかもしれません。
「早めに寝床に着いたとしても、なかなか眠れない」というお悩みをお持ちの方もいるかもしれません。そんな方の対策として番組では、「ベッドでのスマホは厳禁」「上を向いて歩こう(午前中の太陽光を視野に入れよう)」という2つを「眠りの極意」として紹介しました。
番組に出演した睡眠の専門家はこれに加え、下記の「速やかに寝るための極意10カ条」を進めています。
参考にしてみてください。
※すべてを行う必要はありません。
ご自分の生活に無理なく取り入れられるものを選んでためしてください。
◆すみやかに寝るための10か条
一、午前中に日の光を浴びよ
二、食事の時間は一定にせよ
三、運動は夕方に。散歩もよし
四、カフェインは寝る3時間前まで
五、酒は寝る3時間前まで
六、寝る2時間前より強い光を避けよ
七、風呂は寝る30分前に
八、寝室は18度~28度に保つべし
九、布団でのスマホ・ゲームはご法度
十、寝なきゃとあせるべからず
監修:白川修一郎さん(睡眠評価研究機構代表)
・・・・・・・引用ここまで・・・・・
以上の10か条は、すぐにでも実行できるものがたくさんあります。
できるものから試してみましょう。
ちなみに、私は、この番組を見て、できるだけ6時間は睡眠時間をとるように努力するようになりました。
(達成率は約7割くらい)
10か条については、これまでにも実行しているものを含めて、七以外はほぼ実行しています。
昼間眠くなると言う悩みが100%解消したわけではありませんが、ずいぶん眠気は少なくなりました。
ほぼ毎日7時間睡眠を実行している主人によると、これまでより1時間長く寝ることにより仕事の効率は明らかに向上し、1時間以上早く終えられるようになったとのことです。
まとめ
睡眠不足は、様々な健康被害を引き起こす元凶になることがわかりました。
早速今日から対策を始めましょう。
睡眠時間をこれまでより長く確保しようとして思ったのは、帰宅時間が遅いとどうしても寝る時間も遅くなってしまうということ。
起床時間は遅くできないので、睡眠時間を長くとるためには早く寝なければなりません。
早く寝るために一番必要なことは、早く帰宅すること。
そのためには、一人の力だけでは実現しにくい部分もありますが、仕事の効率をあげることが必要になってきます。
さらに、「すみやかに寝るための10か条」をできる範囲で実行して、睡眠不足を解消するように努めましょう。