病院での検査ではレントゲンや血液検査は一般的ですが
CTスキャンやMRIが病状によっては必要になる場合があります。
名前はよく聞くCTスキャンとMRIですが
その違い、分かりにくいですよね。
そこで、ここでは患者の立場に立って
CTスキャンとMRIについて、画像にする原理や
検査を受けるときの注意点、どのようにして検査するのか
大まかな費用などをわかりやすく説明します。
疑問に思っている方、よければ参考にしてくださいね。
CTスキャンとMRIの特徴を比較してみた
CTスキャンとMRIの特徴をわかりやすいように表にしてみました。
主な特徴は表で簡単に比較しましたが
もう少し詳しく説明してみましょう。
◇体の状態を画像にする原理
CT機器
CTスキャンは、X線管がX線を出しながら体を一周し
それを対向する検出器で読み取り、コンピューターで解析して
人体を輪切りにした状態の画像を作ります。
MRI機器
それに対し、MRIは強力な磁気と電波を与えて
体内の水素原子の量と分布の状態を画像にします。
正常な組織と異常がある場合とでは違う画像になるので
異常がわかります。
◇CTとMRIの使い分けは？
主な得意分野は上記の表のとおりですが、具体的にどんな症状の時に
どちらの検査をするのかを調べてみました。
CTは制限が少なく、検査時間が短いなど簡単に検査ができ
細かいものを見る場合にその能力を発揮しますが
病変と正常組織との違いがMRIほど明確に表れないので
造影剤を使用しないと診断が難しいことがあります。
簡単に言うと、CTは短時間に広範囲の撮影ができるので
まずCTで撮影して最初の診断をし、それで判断しにくい場合は
細かい部分の診断に関して非常に優れているMRIで
さらに詳しく調べるということです。
ただし、この説明は「わかりやすく簡単に」を優先したので
大まかすぎて、不十分な点があります。
そこで、具体的でわかりやすい説明がありましたので
引用させていただきます。
では、『CT』と『MRI』をどう使い分けているのでしょうか。
MRIは「組織分解能」が非常に高く、骨の影響を受けにくいため
病変と正常組織の違いがわかりやすいことと
造影剤を用いなくても血管を写すことができます。
CTは骨による影響を受けますが、広範囲の検査を短時間で行え
1mm以下の病変も映し出すことができます。
つまり、早く撮影できて細かい病気を写すのが得意なのがCTです。
最初に外来に来られ、急に始まった頭痛であったり、激しいめまい、頭をぶつ
けて気分が悪い、ひどい鼻風邪による頭痛などを訴えられている方には、まず
ＣＴを撮影します。CT検査は、クモ膜下出血、脳出血、外傷による出血などの
出血に対する診断能力が非常に優れています。また、骨への影響も詳細に診断
できるので骨折や蓄膿症（鼻炎がひどくて膿がたまるもの）も見逃しません。
さらに、５分程度で撮影でき、その後の処理も早いため、患者様への負担が少
なくてすみます。時間の経過した脳梗塞(血管がつまる病気)、脳腫瘍の存在や
脳の萎縮の状態も、初期診断としては、十分に力を発揮します。しかし、欠点
として、レントゲンと原理は一緒なので、放射線を使用しています。妊娠の可
能性がある方には、おすすめしません。また、骨によるアーチファクト（音で
いえば雑音のようなもので、線状の乱れが出ます)が出現しやすい部分の診断は
困難です。さらに、症状が出現してから６～８時間未満の脳梗塞は診断が出来
ないことがあります。以上のことから、あまりMRIにこだわりすぎなくてもCT
で多くのことが診断できることが、おわかりいただけたでしょうか。
医療法人社団めぐみ会HPより引用
そのほか、造影剤を使わずに血管を写すことができるMRIでは
脳動脈瘤の経過観察にもよく使われています。
では、MRIは、どんな時に撮影をするのでしょうか？ 原理を簡単にいいます
と、 MRIは磁石を使用して、体の大部分に存在する水素イオン（水は酸素と
水素のイオンから出来ています）の密度を測定しているのです。
急性の脳梗塞（症状が出現して６時間程度のもの）、突然の複視（二重に見え
ること）、しびれやめまいなどの脳幹部梗塞（近くに骨が集中している部分で
CTでの診断が困難な場所）が疑われる場合、血管の奇形(脳動静脈奇形、もや
もや病など※詳しくは次回以降で特集します）、脳動脈瘤(血管のこぶ)、脳腫
瘍の詳細な診断（位置や種類の推定が出来ます）などに向いています。つまり
細かい部分の診断に関して、非常に優れているのです。しかし、撮影に時間が
かかり(30分程度)、撮影中の体の動きで画像がぶれてしまいます。また、工事
現場のような音もしたり、狭いところに入っているので気になる方はつらいか
もしれません。また、骨の病気の診断は困難です。CTが得意とするクモ膜下出
血、脳出血の診断も出来ないことはないですが、発症した出血の時期により、
見え方が変化するため診断が困難です。しかし、脳腫瘍や血管の奇形からの出
血がある場合は、その詳細な診断能力が力を発揮します。
医療法人社団めぐみ会HPより引用
◇CTとMRI検査を受けるときの注意点は？
それぞれ検査を受けることができない方、不向きな場合があります。
以下に当てはまる方、心配なことがある方は医師に相談しましょう。
●CT検査を受ける際の注意点
●MRI検査を受ける際の注意点
・心臓ペースメーカーが埋め込まれている方
・人工内耳、神経刺激装置等の機会が埋め込まれている方
・刺青がある方
・閉所恐怖症の方
・20分程度の静止が困難な方
・体内に材質の分からない金属がある方
・妊娠またはその可能性のある方
医療法人 育德会のHPより引用
メディカルイメージング栄のHPより引用
◇CTとMRI検査の大まかな費用は？
どちらも大掛かりな機器を使うため、簡単な検査と比べると
多少高額になります。
検査をする機器の種類や検査範囲によっても違いがあるので
おおよその参考にしてください。
メディカルイメージング栄のHPより引用
ちなみに、私が最近受けたCTスキャンの検査費用は
みぞおちから肩までの範囲で、3割負担で4410円でした。
持病持ちの私の場合
現在、私は非結核性抗酸菌症で3ヶ月に一度
呼吸器内科を受診しています。
非結核性抗酸菌症は肺炎の一種なので
3ヶ月ごとの受診の際に、毎回レントゲンを撮っていて
CTスキャンは2年前と直近の受診の時の2回撮影しました。
撮影範囲はみぞおちから肩までで、今回は2分ほどで終わりました。
X線撮影なので、金属のついた衣服は脱いでセーターを着て
機器にあおむけに寝た状態で
2分の間、息を吸って10秒ほど止めることを3回繰り返しました。
短時間で済み、何の苦痛もありませんでした。
CTスキャンにかかった費用は、3割負担で4410円でした。
レントゲンの画像は縦方向ですが、CTスキャンは横断面になります。
レントゲンではほとんど写っていない影が
CTではくっきりと白く写っている部分がありました。
主治医の先生がそれぞれの画像を比較して
3ヶ月ごとの問診とレントゲンで病状の変化を判断し
2年ごとのCTも確認して投薬などの指示をして下さっています。
非結核性抗酸菌症は特効薬がないため、定期的に病状の進行を
チェックすることが治療の第1歩になってきます。
現在、病気の進行を遅らせるかもしれないお薬を服用しているのですが
レントゲン画像を比較して、お薬をやめるかどうか
判断してくださっています。
まとめ
CTスキャンとMRIはどちらも体の異常を画像判断するためのツールですが
画像にする方法が全く違うということがわかりました。
その手法の違いによって得意分野も違うため
病状に合った検査を受ける必要があることもわかりましたね。
人によっては受けることができない場合もありますが
ほとんど苦痛を感じることもなく、こんな精密な検査が受けられるのなら
異常を感じたらできるだけ早く医師の診察を受け
自覚症状が出る早期の段階で治療を始めたいものですね。
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