あと8カ月で60歳を迎えるという年齢で、膝の前十字靱帯の手術を受けました。
手術をすることに決めてからさらに5年経ってしまいましたが、仕事を辞めてリハビリに専念する体制も整えて手術に臨みました。
靭帯を痛めてしまって、もう若くはないし手術をするかどうか悩んでいるという方の参考になればと思い、日記を公開することにしました。
手術までの経過はこちらをご覧ください。
60歳目前で膝の前十字靱帯を手術 現在リハビリ中の筋トレ日記その1
手術をすることに決めた理由について
インターネットなどで前十字靱帯の手術後のリハビリについて調べたところ、元の生活ができるようになるまで半年から1年もかかることを知りました。
それでも手術をしようと決めたのは、以下の理由からです。
1.この1年膝がカクっとなる症状が頻繁にあらわれるようになったため、このままだとこの先何年かすると歩けなくなるのではないかという危機感があった
2.何年後かに手術をしても、リハビリで筋肉をつけることが難しいのではないかと思った
3.20年以上スイミングを続けていて体育会系なので、今の年齢ならリハビリを続ける自信があった
4.幸い仕事を辞められたので、リハビリの時間が十分に確保できる
5.子供は独立していて世話をする必要がない
以上のことから、手術をするなら今しかない!という結論に至りました。
手術の内容について
では、前十字靱帯の手術とはどういうものかという説明を簡単にしておきます。
(私が手術前に整形外科の先生にしていただいた内容です)
1.切れている前十字靱帯を取り去る
2.新しい靭帯に入れ替える
新しい靭帯は、自分の太ももの後ろの半腱様筋腱と薄筋の腱を採取して4つ折りにしてループを作る。
それらを束ねたものの両端に人工靭帯とエンドボタンをつなげ、前十字靱帯の位置に移植してボタンで骨に留めます。
3、その時に、半月板や軟骨が損傷している場合は、そちらも撤去するなど処置を行います。
さらに、軟骨がすり減っていてあまりに少なく、今後の膝の動きに支障がある場合は、ドリリング(注1)も行います。
私の場合は、30年以上靭帯が切れたまま放置していたので、軟骨がほとんどなくなり半月板も傷んでいたので
ドリリング(注1)を合計5か所と傷んだ半月板の撤去もしていただきました。
(注1) 周辺の骨に骨髄まで達する小さな穴をあけ、髄液を出して軟骨が新しく生成するようにします。
手術前から手術直後まで
本気で手術を検討しておられる方には細かいところも気になるかと思い、詳しく記述しました。
細かい部分は整形外科によって違うと思いますが、一つの例として参考にしてください。
手術は全身麻酔で行われるため手術の2日前の午後に整形外科に入院
〈 2日前 〉
看護師さんから入院の説明
執刀医の先生から手術の説明
病名 左膝前十字靱帯損傷
半月板損傷
軟骨損傷
症状 不安定感
手術内容及び日程 半腱様筋腱を用いた靭帯の形成
推定される入院期間 16日間
手術は関節鏡により行うので、手術による傷は、腱採取のための約5cm(注2)の傷が一つと、関節鏡のための5mm程の傷が2カ所
(注2) 通常は3~4㎝ですが、私の場合は若い人に比べて骨の端部が薄くなっていて割れる心配があるため、端部から少し下がった位置で固定したので傷口が長めになっている
(手術前にレントゲンで骨の状態を見ながら説明及び確認を受けた)
検査 心電図
胸部レントゲン
食事(普通食)の内容
朝食:菓子パン2個 牛乳200ml
昼食・夕食 ご飯とおかず お味噌汁
ご飯も含めて800kcal台なのでかなりボリュームあり
おかずはほとんどたべるように努力したが、ご飯は2/3程度を残してしまった
入浴
〈 前日 〉
午前・午後 リハビリ
手術後行うリハビリの説明・練習と松葉杖の練習
21:00~絶食
入浴
〈 当日 〉
6:00 ~ 絶飲
8:00 ~ 点滴
13:00 ~ 筋肉注射(麻酔を効きやすくするため)
ベット上で安静
14:00 ~ 手術室に移動して手術
15:00 ~ 病室に移動
麻酔が効いていて意識がはっきりしていない
ろれつが回らない
うとうとしたり目を覚ましたりを繰り返す
導尿チューブが入っているのでトイレに行く必要なし
アイシングのセットが装着されている
20:00 ~ 飲水可 少しお茶を飲む
手術の傷口は、動かすと少し痛むが動かさなければほとんど痛みはない。
*私はアルコールはほとんど飲まないせいか、麻酔がとてもよく効いていて術後の痛みはあまり強く感じませんでした。
同室の若い女性は、手術後部屋に帰ってくるときにすでに麻酔が醒めていて、私よりは痛みを強く感じておられました。
彼女は、アルコールをよく飲んでいるとのこと。
飲酒の習慣は麻酔の効きに関係があるようです。
〈 手術翌日 〉
6:30 ~ 導尿チューブを抜く
トイレに行く時は、アイシングのスイッチを切ってチューブの接続部分を外し、両松葉杖を使用
7:00 ~ 朝食 牛乳を少し飲んで薬を服用
7:30 ~ 吐き気がして200㏄程嘔吐
12:30 ~ 昼食 気分が悪く3口くらいしか食べられなかった
18:00 ~ 夕食 1/4くらい食べた
1時間位ずつ3回寝られた
*麻酔薬の関係で吐き気がおこる場合がある
*痛みが原因ではないが、夜あまり寝られなかった。
手術後2日目から退院まで
〈 手術2日日 〉
6:00 ~ 傷が少し痛いが、がまんできないほどではない
7:00 ~ 点滴あり
8:40 ~ アイシングのセットを取る
ギプスが足の後ろ半分になる
傷口の消毒
足全体が腫れているので足首を動かす運動をするよう指示あり
松葉杖をつくとき、杖と同時に左足(手術したほうの足)も少し床につけるように練習するよう看護師さんから指導あり
10:30 ~ 洗髪
16:30 ~ リハビリ室にてリハビリ
おもに膝周りの筋肉に力を入れるメニュー 5種類
腹筋
歩く練習:左足に体重の1/4をかけて松葉杖で歩く
リハビリ後は必ずアイシングを行う
冷凍庫のアイスノンを膝の両サイドにつけてテープで固定して15~20分
17:30 ~ 術後の膝のレントゲンをとる
食事は、朝昼夕とも普通にとれるようになる(吐き気はおさまった)
〈 手術3日日 〉
2日目とほぼ同じ
先生から手術後のレントゲンを見ながら説明あり
外側の半月板がほとんど飛び出していたので取り出した
軟骨がほとんどなくなっていたので合計5か所のドリリングを行った
→ドリリングをしていないケースよりリハビリに時間がかかる
骨がもろくなっているので金物を通常より少し下のほうで固定した
(レントゲンで骨密度が低下している様子が見られたので、しっかりしている骨のところまで下げた)
今後の注意点として、骨粗しょう症の対策が必要
リハビリは午前と午後の2回になる
メニューはほぼ同じ
機械による膝に曲げ伸ばし(1時間)が追加
最初は緩い角度(65度)からスタートするので痛みは全くない
(これから毎日午前と午後行ない、曲げる角度を毎日10~15度ずつ大きくしていく)
〈 手術4~6日日 〉
リハビリは3日目と同じ
看護師さんから血液検査の結果について説明を受ける
・白血球の値 3 (炎症が全くない場合 0)
術後2日目の検査の場合 5 の人が多い
3 → 自然治癒力が高いほう
・タンパク質の値 5.2
炎症を抑えるためにたんぱく質を消費するから値はよくない
タンパク質が不足するとインナーマッスルが緩み、むくみの症状があらわれる
早く治すためにはむくみを取ることが必要
→ ① 積極的にタンパク質を摂取する
② 足を下に下げる姿勢はできるだけ避ける(むくみの原因になるため)
〈 手術7日目 〉
リハビリはこれまでと同じ
傷口の抜糸と消毒
抜糸といっても、ホッチキスの針と同じ形状のものをハサミではさんで取り除く
覚悟していたがほとんど痛みはなかった
この日から足カバーをつけてシャワーOK 早速シャワーを浴びる
膝の周辺の筋肉が筋肉痛になる
(リハビリで筋肉が使えている証拠なのでしかたがない)
〈 手術9日日 〉
リハビリはこれまでと同じ
自分でできるマッサージ追加:膝のお皿を親指を当てて外側から内側に寄せる
傷口の消毒 この日から装具をつける
機械による膝の曲げ伸ばしで、角度がきつく(105度)なると痛みが出てきた
→ 術後の膝の内部の痛みなのでしかたがない
ひざの裏の筋肉と筋が痛い
→ 前十字靱帯を作るために採取した腱の周りをかばって筋肉を使いすぎているため
徐々に痛みはなくなっていくとのこと
〈 手術10日日 〉
この日から片松葉杖になる
左足に体重を2/3かけて歩く
(注)体が右に傾かないようにまっすぐ立って歩く
松葉杖は補助のつもりであまり寄りかからない
階段の上り下りの練習
この日から足カバーをつけて入浴OK
〈 手術11日日 〉
10:30 退院
退院時の左ひざの状況
・少し腫れていて、右とは形が違う
・常に熱を持っていて重たい感じがある
・機械で膝を曲げる角度は、なんとか目標の120度に達した
まとめ
現在、手術後1年と3カ月経ちました。
今では、1時間くらいジョギングしたり、その間で10歩ほどダッシュをしたり、片足でジャンプしたり、去年の今頃は考えられなかったほど回復しました。
年齢と手術時の膝の状態を考えると、ここまで回復したのが夢のようです。
理学療法士の先生が、私の膝の状態に合わせて、細かいリハビリメニューを作って指導してくださったおかげです。
それを忠実に守ってリハビリを根気よく続けると、きっと膝はもとに近い状態まで戻ります。
前十字靱帯の術後のリハビリは、どこまで回復したいかによってリハビリの最終地点が違ってきます。
手術をするかどうか迷っておられる方は、ご自分の目的をもう一度確認して、手術をするかどうかを考えてみてください。
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