日本人で一度でも腰痛を経験したことがある人は、90%にも上るという調査結果が出ています。
それだけ多くの人が、腰痛で悩んでいるということですね。
腰は上半身の重みを支えたりバランスをとる役割があるため、日常生活において大きな負荷がかかることが多く、最も痛みが出やすい場所の一つです。
痛みを軽減・予防するために、普段の生活習慣を見直して腰の負担を減らしましょう。
姿勢や動作について
体を動かすときに、体の中で最も負担のかかる箇所が腰です。
普段の何気ない姿勢や動作が思った以上の負担になり、それが積み重なって腰痛を引き起こします。
腰痛の原因のうち最も多くの割合を占めるのが、《よくない姿勢や動作》です。
運動不足や肥満のような痛みのもとがあっても、理想的な姿勢や動作ができていれば、そんなに腰痛になることはありません。
それほど正しい姿勢や動作は腰を健康に保つために重要なことなのです。
腰への負担が少ない姿勢や動作を身につけて、腰痛を予防・改善しましょう。
1.背筋をまっすぐにのばす
背中を丸めて猫背になったり、上体を大きく反らしたり、お腹を前に突き出すなど、背中が曲がった姿勢では、背骨にかかる負荷が分散されず、腰に負担がかかります。
普段の生活では、このような腰によくない姿勢を頻繁に取ったり、長時間続けたりしないように気をつけましょう。
《対策》
・腰を前に曲げる時は、先に膝を曲げたり、両足を前後に開くと前かがみの姿勢を防止できる
・中腰の姿勢で作業をするときは、一度しゃがんだり片膝または両膝をつく
・中腰姿勢が多い時は、時々休憩してストレッチをする。
・普段から猫背の姿勢になりやすい人は、腹筋が弱いために上半身を支えられていないことも考えられるので、腹筋運動などの筋力トレーニングを行う
2.同じ姿勢を長時間続けない
・悪い姿勢でなくても、同じ姿勢を長時間続けると腰の筋肉が緊張して固くなり、血流が悪くなって腰痛が起こる
・特に座りっぱなしで仕事をする事務員や運転手、また立ちっぱなしの販売員や警備員の人たちは注意が必要
30分に一度くらいは軽く体を動かすようにする
その時間が取れなければ、少し体を動かすだけでも効果はある
3.腰を急激に動かさない
・腰を急にひねったり、何度も前後左右に曲げたりすると、特に腰への負担が大きく、筋肉が損傷しやすい
・特に腰に疲労のたまった状態で行うと、ぎっくり腰などになりやすいので、普段から腰を使った動作はゆっくりと行うように意識する
・特に、腰をひねったまま前や後ろに曲げる動作は腰に大きな負荷をかけるのでやめること
運動について
普段から適度な運動を行うことは、痛みを軽くするだけでなく、大きな予防効果もあるため腰痛には大変有効です。
散歩、体操、その他のスポーツで体を動かすことが腰痛に対して高い治療・予防効果があることは、科学的にも証明されています。
1.運動の主な健康効果
・骨や筋肉が強くなって腰を支える力が強くなり、けがをしにくくなる
・姿勢がよくなる
・体力がつき、抵抗力が強くなる
・血行が良くなり、新陳代謝がよくなる
・体の老化を遅らせる
・肥満を防ぐ
・ストレス解消になる
2.運動の種類
運動は大きく3つに分けられます。
① 筋力トレーニング:主に筋力アップを目的とする
② 柔軟体操、ストレッチング:筋肉や関節の柔軟性を高める
③ 全身運動(有酸素運動):基礎体力の向上と心肺機能を高める
運動といっても、激しい運動をする必要はなく、近所を散歩するだけでも十分な効果があります。
定期的に行ってそれを続けることと、気持ちよく感じる程度で行うことが大切です。
やりすぎはかえって逆効果で、腰を痛めてしまいます。
食生活について
1.食事の量
・適切な食事の量を認識し、食べ過ぎないようにする
暴飲暴食は肥満につながり、腰の負担を増やすだけでなく、成人病などの原因にもなる
一日の消費カロリー>一日の摂取カロリー になるようにする
◆参考◆ 一日の必要摂取カロリーを計算する方法
■ 標準体重から計算する方法
必要摂取カロリーを算出するためにまず自分の標準体重を計算します。
計算式は『身長(m)x身長(m)x22』です。
例えば 身長が162cmなら標準体重は
1.62 x 1.62 x 22 = 57.736 で約58kgになります。
そこで一日に必要な摂取カロリーは
体重に25~30を掛けた数字になります。
58kg x 25 =1450(kcal)
58kg x 30 =1740(kcal)
必要摂取カロリーは一日あたり1450~1740kcalとなります。
■ 目標体重から計算する方法
目標体重で一日の必要摂取カロリーを計算するには
目標体重に25~30を掛けた数字になります。
例えば 目標体重が52kgなら
52kg x 25 =1300(kcal)
52kg x 30 =1560(kcal)
目標体重に対しての必要摂取カロリーは一日あたり1300~1560kcalとなります。
(注) 厳密には、性別・年齢・一日の運動量などでその人にあった必要摂取カロリーが算出されます。
・痩せすぎも腰痛の原因になる
必要な栄養が不足して骨や筋肉が弱くなる
女性は月経困難症や骨粗鬆症を起こしやすくなり、それが腰痛につながる
2.規則正しい食生活
・一日3食決まった時間に食べる
・不規則になると、お腹がすいて食べ過ぎてしまったり、食事間隔があいて脂肪がつきやすくなる
3.栄養バランスの良い食事
・炭水化物、タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルの五大栄養素をバランスよくとる
・炭水化物や脂肪を取り過ぎると肥満につながる
・タンパク質が不足すると筋肉が痩せてしまう
・ビタミンやミネラルが不足すると、骨が弱くなったり、免疫力が低下していろんな病気にかかりやすくなる
ストレスについて
最近の研究結果から、腰にはっきりした異常が見つからない「原因不明の腰痛」の3分の2には、ストレス、うつなどが関係していることが分かっています。
腰痛を起こさないためには、普段からストレスをためないようにしたり、些細なことに悩まないように考え方を変えていく必要があります。
1.自分なりのストレス解消法を持つ
・現代社会でストレスのない生活を送ることは無理、仕方がないことと割り切る
・ストレスによる悪影響が出る前に、うまく発散する方法を持つ
熱中できる趣味を持つ
特に趣味がない場合は、負担に感じることを一切せずにボーっとする時間を持つ
(好きな音楽を聴いたり、好きなTVを観たりする)
冷えについて
腰が冷えると腰回りの血行が悪くなり、血液中の疲労物質などが腰にとどまって痛みを起こすことがあります。
また、冷えると筋肉が硬くなり柔軟性がなくなるため、腰椎を支える働きが弱くなって腰に負担がかかり腰痛を起こしやすくなります。
腰を冷やさないように以下のことに注意しましょう。
・おなかや腰を露出するような薄着はしない
・冷たい食べ物や飲み物を摂りすぎない
・冷房の冷気が直接腰に当たらないようにする
寒い場所に長時間いるときは、カイロや腹巻等を身につける
・腰をきつく締めつけるような服は着ない(血行が悪くなるため)
まとめ
腰痛を予防する生活習慣は、腰痛だけでなく健康に過ごすためにとても大切なことばかりです。
これらの生活習慣に近づくように努力することは、そのまま健康な生活を送る事につながります。
自分の生活習慣を見直してみると、適度な運動を続けることと、ストレスをためないことはなんとか実行できています。
おかげで、腰痛で苦しんだことはほとんどありません。
でも、今後腰痛にならない保証はどこにもないので、自分でしっかり予防を続けようと思います。
腰痛で泣かないためにも、健康を維持するためにも、今すぐ生活習慣を見直して改善していきましょう。