私は、果物を自分で育てたくて、田舎に引っ越しました。
引っ越しの目的が「果物を育てたい」ということだったので、「敷地が広くて果樹がたくさん植えられる」ことを一番の条件に引っ越し先を探しました。
運よくたくさんの果樹がすでに植わっている敷地がありました。
柿、もも、栗、なし、みかん、いちじく、ブドウがあり、みかんはたくさんの実をつけていました。
ところが、引っ越してから、どんなにたくさんの果物が収穫できるだろうと楽しみにしていましたが、花は咲いても実がならないものもありました。
野菜と比べると、実を収穫できるように果樹を育てるのはとても難しいということがわかりました。
ここでは、これまで5年間の経験でわかったおすすめの果樹を紹介します。
「手入れが難しくなくて、そこそこ食べられる実がなること」を基準にしました。
また、ブルーベリー以外は鉢植えではなく地植えにしています。
これから果樹を育てようと思っているかたは、参考に読んでみてください。
簡単に育てられると説明されていても、全く実が収穫できなかったものもありました)
おいしい実が収穫できた果樹
私が住んでいる地域は京丹波町で、京都府の間中あたりになります。
山間地なので、雪は毎年20センチ(多い年は50センチ)は積もります。
たくさんの果樹がすでにあったのですが、他にも植えたいものがあり、新たに追加して植えたものもあります。
引っ越してもうすぐ丸5年になります。
引っ越した当時は、鹿に新芽を食べられた栗の木などは元気がなく、葉も少なめでした。
ネットなどで鹿が侵入しないように対策したところ、少しずつ元気を取り戻していき、3年たったころには、そこそこ収穫できるようになりました。
以下に、実際に育ててみてわかったコストパフォーマンスが高い果樹を順番にあげてみます。
(友人宅の果樹も含みます)
1.キウイ
苗の説明書きにも実がなるまで3年かかると書いてありましたが、その通りに3年目に初めて収穫することができました。
②収穫量
・1年目:75個
摘果をするのがかわいそうでかなり遠慮してしまったため、小さい実がたくさんなってしまいました。
店頭で見るくらいの大きさのものは全体の1/4程度でした。
・2年目:これから収穫なので数はまだ数えていませんが、ざっと見たところ前年の半分以下です。
思い切り選定しすぎたせいかもしれません。
③味:◎
味は期待以上で、リンゴと一緒に袋に入れて追熟させたものはとても甘くておいしかったです。
④注意すること
収穫量の欄にも書きましたが、適当に選定すると翌年実が激減してしまいました。
選定はしなくてはならない作業ですが、いい加減にすると後悔することになりますから
きちんとマニュアルに従って行ってくださいね。
参考図書はこちら。
おいしく実る!果樹の育て方 はじめてでも失敗しないおいしい果物のつくり方 切る枝がひと目でわかる[本/雑誌] / 三輪正幸/著
いろんな本を読みましたが |
2.ブルーベリー
違う品種の苗を全部で3本鉢植えにして並べています。
①収穫できるまでの年数:2年
購入した苗が小さかったので、実がなるまで2年かかりました。
そのうち1年目に実がなったのは2本で、2年目は1本だけでした。
②収穫量
・1年目:実がなった2本のうち多いほうは100gくらい、少ないほうは大粒ですが10粒くらいでした。
・2年目:1本しかなりませんでしたが、250gくらいとれました。
鈴なりになっている感じです。
このくらいだとぎりぎりジャムがひと瓶できるくらいです。
③味:◎
味は1年目も2年目も同じく甘酸っぱくておいしかったです。
ブルーベリーは完熟を見分けるのが難しく、たまに早くとりすぎて酸っぱいものもありました。
3.ブドウ(デラウエア)
①収穫できるまでの年数:翌年
すでに植えてあったのですぐになりました。
②収穫量
・1年目:約30房
1年目は何も手入れをせずにならせたので、数は多いのですが小さな房も混ざっていました。
ジベレリン処理をしていないので種ありです。
・2年目、3年目:約30房
剪定とジベレリン処理を2回と袋かけをしました。
ジベレリン処理は時期が遅かったようで、種は普通にありました。
・4年目:約20房
剪定のみで、その他の手入れは何もしませんでした。
あと2週間ほどで収穫です。
③味:◎
味は毎年同じで、とても甘くできました。
でも、デラウエアで種があるのは食べるのが面倒です。
来年こそ種なしに挑戦しようと思っています。
4.イチジク
①収穫できるまでの年数:2年
引っ越してきた時は葉を食べられてしまっていたので、小さな実はなりましたが食べられるまでは熟しませんでした。
2年目からは、少し食べられる実がなりました。
②収穫量
・2年目:約5個
・3,4年目:約10個
③味:◎
完熟した実はジャムに近いくらい甘くなりました。
④注意点
昨年なにも調べずに思い切りバッサリ選定したところ
今年はなんとひとつの実も付いていません。
選定がいかに大事かということがよくわかりました。
5.栗
①収穫できるまでの年数:2年
新芽が食べられないようにシカよけの囲いをすると、翌年から収穫量が一気に増えました。
それから毎年、少しずつ収穫量は増えています。
②収穫量
・1年目:いがぐり3個
・2年目:栗の実約1㎏
・3年目:栗の実約1.5㎏
③味:◎
大粒で甘みがあってとてもおいしい。
④注意点
栗を育てている農家のおじさんに教えていただいたのですが、栗は日当たりと風通しがとても大事とのこと。
その条件が十分に満たされていれば虫はあまりつかないそうです。
うちは引っ越し時にはすでに植えてあったのでそのままなのですが
木と木の間が狭く、日当たりも風通しも悪い状態です。
そのため、毎年虫が大量発生して退治するのに一苦労です。
昨年から、少しだけ楽な害虫の退治方法を発見しました。
最初の年は緑色に大きく成長した毛虫を一匹ずつ高枝きりばさみで葉や枝とともに
切り落としていましたが、虫の数が多くて首が痛くなりました。
翌年からは、黒い小さな卵の時にまとめて葉や枝とともに切り落としました。
この方法だと何十匹もの毛虫の卵を一度にやっつけることができ、
労力は1/10くらいに減りました。
6.梅
①収穫できるまでの年数:翌年
花梅が赤と白1本ずつと実梅が1本あります。
②収穫量
・翌年:合計で約500g
・2年目,3年目:合計で約1㎏
・4年目:合計で約2.3㎏
実梅のほうが粒は大きいですが少ししかないので、花梅の実も合わせて収穫しています。
③味:◎
毎年梅酒と梅シロップを漬けています。
花梅の実でも十分おいしくできますよ。
梅酒・梅ジュースの作り方はこちら
大量の梅の実を使い切る方法はこれ!簡単なレシピと活用術を教えます
おすすめの果樹
果樹によって耐寒性に差があるので、育てる地域に合ったものを植えるのが一番のポイントです。
ラベルの注意書きやお店の人に聞いたりして選びましょう。
では、中間地で育てるのにおすすめの果樹をあげてみます。
1.柿
柿は引っ越し前に住んでいたところ(京都府南部地域)に植えてありました。
剪定が不十分だったので一年おきに大量にとれていました。
味は、うちの柿が一番おいしいと思うくらいおいしかったです。
あまり虫もつかず、手入れもほとんどしなくてもおいしい実がなりました。
ただし、剪定をしないと、次の年はかなり実が減ってしまいますので、毎年たくさんならせるためには手入れは必要です。
柿はすぐに柔らかくなってしまうので、おすそ分けしたり、ケーキに入れたり、お料理に使ったりしていましたが、使い切るのに苦労したくらいでした。
柿は実がなるようになるまで時間がかかるといわれていますが、接ぎ木苗などを利用すると4年ほどで実をつけるようになります。
スペースがあれば、一番に植えたい果樹です。
(引っ越し先の柿は全部渋柿なので、収穫していません)
2.キウイ
オスの株とメスの株の両方を植えなければなりません。
雌花が咲いて実がなるまでに3年かかりますが、虫がつかないし実が途中で落ちたりしないので、確実に食べられる果実が収穫できます。
木自体も大変強く、毎年どんどん大きくなります。
大きな実を収穫するためには摘果が必要です。
摘果しなければ実の数が多くて小さくなりますが、味は変わらずおいしいです。
収穫してから追熟が必要ですが、逆に言うと収穫時期の見極めは難しくありません。
棚を作ってつるを這わせるのですが、どんどん成長するのである程度広い(最低3m×3mくらい)スペースが必要です。
3.ブルーベリー
大きめの鉢で十分に収穫できます。
鉢植えのほうが土の管理がしやすいかもしれません。
ブルーベリーは酸性の土壌にしないと生育が悪いので、注意が必要です。
土と日当たり、水やりに気をつけ、2種類以上の苗を並べて育てると、そこそこ実はなります。
元気に育てるためには、耐寒性・耐暑性を確認して、育てる地域の気候に合った品種を選びましょう。
4.ブドウ
種なしにするにはジベレリン処理が必要になりますが、あとの手入れは摘果と袋かけくらいで割と手はかかりません。
花の後にはほとんど実がなるので、収穫の確率は高い果物です。
5.イチジク
どちらかというと暖かい地域に適した果樹です。
寒い地域だと、実はついても熟するまでに寒くなってしまったり、季節外れ(6月ごろ)に実が大きくなって熟さなかったりすることがあります。
完熟するまで待っていると蟻が中にたくさん侵入していたり、カナブンに食べられたりと虫の害は多少はあります。
虫に気をつけて完熟させるととても甘い実が収穫できますよ。
6.柚子
うちには柚子の木はないのですが、同じ地域の友人宅に柚子の木があり、毎年たくさん柚子をいただきます。
かんきつ類は全体的に寒さに弱いものが多いのですが、柚子は寒さにも強く、たくさん実をつけてくれます。
ジャムにするほか、お料理の香り付けなどにも大活躍する、利用価値の高い果樹です。
スペースがあるならぜひ1本植えておきたいかんきつ類です。
7.栗
1本だけではなく2本以上で植えると、日当たりが良い場所なら、たくさん実をつけます。
丹波栗など大粒の品種を植えれば大きな実が収穫でき、ゆで栗や栗ご飯にしておいしくいただけます。
ただし、毛虫がたくさんつきますので、その駆除が必要です。
うちは3本しかないので、薬剤は使わずに卵のうちに取って焼いたり、毛虫になっていたら一匹ずつ捕まえて水につけてやっつけています。
栗の実自体にはあまり虫は付いていないので、手入れといえば毛虫退治と追肥しかしていません。
日当たりが悪くならないように剪定するとなおいい。
8.梅
そのままでは食べられない梅も、梅ジュースや梅酒なら簡単に作ることができます。
花梅でも、実は小さめですが梅酒や梅ジュースにするとおいしくできました。
花でも楽しんで、実もおいしくいただける梅は、私のお気に入りの果樹です。
ほとんど収穫できなかった果樹
1.桃
花はたくさんとても美しく咲きましたが、たくさんなっていた実は小さいうちにどんどん落ち、数個残っていた実も虫がついて落ちてしまいました。
たった一つ残っていた実は、時々さわって収穫時期を確認していたのですが、しばらく忘れていたら熟しすぎて腐ってしまっていました。
収穫時期の見極めが難しいと思いました。
2.ネクタリン
桃と同じく、たくさん花は咲くのですが実は少ししかならず、ただ一つ残った実も収穫時期が遅れて傷んでしまい、1/4くらいしか食べられませんでした。
味はとてもおいしかったので、残念でした。
3.ナシ
引っ越してきた時にすでに植えてあったのですが、毎年葉が出るとすぐに病気になり、花も咲きません。
調べてみると、1㎞以内にカイズカイブキなどのビャクシン類があると病気にかかりやすく、薬剤による消毒が必要とのこと。
薬剤は使いたくないので、ナシはあきらめました。
まとめ
引っ越して5年、いろいろな果樹に挑戦してみましたが、まともな実を収穫するのはとても難しいということがわかりました。
その中で、素人でも少しの手入れでおいしい実が食べられるのは、柿、キウイ、ブルーベリー、ブドウ、イチジク、柚子、栗、梅です。
もっと温暖な地域ならかんきつ類も育てやすいでしょう。
意外だったのは、ブドウが意外と簡単に育てられたことです。
果樹は、ほとんどが美しい花を咲かせて花でも楽しませてくれます。
特に桃はピンクの花が可愛くて、花瓶にさすと部屋がパッと明るくなります。
その上においしい実が食べられたらラッキーだと思って、桃はあまり期待しないことにしています。
梅にしても、いい香りの梅の花を楽しんで、梅酒をつけておいしくいただいて、季節ごとに自然の恵みを感じながら暮すことができるなんて、幸せだと思いませんか。
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