床暖房は室内に暖房機を置くことなく、床自体を温めることにより部屋を温めてくれる便利な暖房方法です。
床暖房は他の暖房方法と比べて大きな違いがあるため、それをよく理解して選ぶ必要があります。
ここでは、床暖房と他の暖房器具を比較し、床暖房のメリットとデメリットについて説明します。
次に、床暖房の種類とそれぞれのメリットとデメリットをあげ、どんな場合にどの床暖房が適しているのかについても説明します。
床暖房と他の暖房器具との違いは?
床暖房とは、電気やガスを使って、床のしたに配線している発熱体を暖めるか、床のしたの配管に温水を通すことにより床自体を暖める暖房器具です。
床面を直接暖めることで、輻射熱により暖かさを感じることができます。
したがって、床の上に暖房機器を置く必要がなく、すっきりします。
◆床暖房のメリット
1.床を直接暖めるので輻射熱により快適。体感温度も上がりやすい
2.安全性が高い
◆床暖房のデメリット
1.導入コストが高額
・置き式のストーブと比べると、床暖房は床板を外して床下に器具を入れなければならないため、工事費などのコストがかかる
・床下に敷きこんでいるため、故障時などのメンテナンスに手間がかかる
2.ランニングコストが高い場合がある
(オール電化にして熱源の光熱費を抑えるとランニングコストが比較的安く済む)
床暖房の種類とそれぞれのメリット・デメリット
床暖房は、床を温める熱源によって、温水式と電気式の大きく2つのタイプに分けられます。
■温水式
温水式の床暖房は、床に敷くパネルに温水を通すパイプが組み込まれていて、給湯暖房機で温めた水を、そのパイプに循環させる方法です。
燃料には電気、灯油や都市ガスなどが使われます。
○メリット・デメリット
・暖房を立ち上げてから暖まるまでが電気式に比べて速く、部屋全体を均一に暖められる
・温度の上昇は40度程度までで、上がり過ぎることはないため、低温やけどの心配がない
・リビングのような広い部屋でも複数の部屋でも、温水を作る熱源機が1台あれば全体を均一に暖めることが可能
・他の暖房器具を併用する必要がないので電気代が節約できる
○デメリット
・床下に温水チューブを通す配管施工、熱源機の設置など、工事にやや手間がかかる
・熱源機の定期的な点検や部品の交換などのメンテナンス費用がかかる
■電気式
◆蓄熱式
主に電気代の安い深夜電力を利用して蓄熱し、日中に放熱させる蓄熱式床暖房。
○メリット
・効率的でランニングコストが抑えられ、とくに広い範囲に設置した際に高い効果を生む
・住居内を均一に暖めることができる
・場所による温度差だけでなく、時間帯による温度差も小さくなり、その結果として比較的低い室温で快適に過ごせる
・低温やけどの心配がない
・夜間電力で蓄熱材を暖めて、電気代の高い昼間は蓄熱材の熱を放熱するので 割安電力で一日中暖かい
・家全体ではなく一階のみ蓄熱式床暖房にすることもできる
・メンテナンスがほぼ不要
設備がシンプルなので基本的にはメンテナンスが不要で、寿命も長く半永久的(住宅と同程度の寿命)に使用できる
・安全性が高い
熱源に電気を使用するので、灯油などの燃料を補充する手間がなく、 お子様やお年寄りの方がいる家庭でも安心して使用できる
○デメリット
・初期費用が高い
コンクリート工事費や断熱材に費用がかさむため、最低100万円くらいかかる
・細かな温度管理ができない
蓄熱式床暖房は寒いときだけスイッチを入れ、暖かくなったら切るという使い方ではなく、秋口にスイッチを入れて冬の終わりにスイッチを切る長期的な使い方が基本
温度管理は、タイマーなどで調整する
・新築が前提
リフォームとして施工するのは現実的ではないため、導入するなら新築時に設置する
・電気量が増える
電気式の床暖房を設置する際にはご家庭の電気容量を上げる必要がある場合あり
容量を上げてしまうと基本使用料、電気使用量ともに上がる
○おすすめの使用方法
広い範囲に設置したり、複数の部屋に設置する場合は電気容量をアップする必要がありますので、冬場の寒さがつらい水まわりなど、ポイントを絞って暖めるのに向いています。
◆ヒーター式
①電熱線ヒーター式
床に電熱線や炭素繊維などの発熱体を組み込んだパネルを内蔵し、発熱体からの熱で床を暖めます。
従来から使用されている信頼性の高い方式です。
○メリット
・サーモスタットや温度ヒューズが内蔵されているため安全性が高い
・設置は熱源パネルのみで、温水式と違い熱源機の設置が不要なため、初期費用が安価
・設置した後の定期的な機器メンテナンスの必要はほとんどなし
○デメリット
・深夜電力ではなく暖房するその時点の電気を使用するので、昼間に長く利用する場合は運転費が他の方式に比べ割高
・暖房を立ち上げてから適温になるまで温水式よりも時間がかかり、電気線の結合部分で温度ムラが発生してしまう
・複数の部屋や広範囲で使用する場合はランニングコストが割高になる
・長時間使用していると体が接している面が高温になり、低温やけどをするおそれがある
・電気量が増える
電気式の床暖房を設置する際にはご家庭の電気容量を上げる必要がある場合あり
容量を上げてしまうと基本使用料、電気使用量ともに上がる
○おすすめの使用方法
・一部屋だけ施工したり、部分的な暖房として使うなど小スペースの暖房におすすめ
・手軽に導入できるがランニングコストはやや高いので、時間を区切った使用がおすすめ
③PTCヒーター式
暖房面の一部の設定温度が高くなるとその部分だけ発熱を抑え、無駄な電気を使わなくてすみます。
全体が温度センサーを持っているため、日光で暖められた部分などの発熱を抑えることもできます。
また、床にモノを置いても熱くなりすぎないので安心です。
○メリット
・自動温度調整機能で省エネ・快適
・自動温度調整機能付
寒ければたくさん発熱し、暖まると発熱を制限ため部屋全体がムダなく均等に暖まり、省エネ・快適
・お年寄り、子供にも安心
火を使わないので、お年寄りやお子様のいる家庭でも安心
PTCが熱を自動でコントロールするので、やけどの心配もほとんどない
・ヒーターが薄いので、床高をあげずに施工できる
リフォームの際などに手軽に導入できる
○デメリット
・立ち上がりの時間が遅い
電流が床面全体に流れ、暖かさを感じるまでに時間がかかる
・電気結線部分が冷たく温度ムラがある
敷設率が低いため、床面全体が暖まりにくく、場所よっては冷たさを感じる場合もある
・電気量が増えてしまう
・電気量が増える
電気式の床暖房を設置する際にはご家庭の電気容量を上げる必要がある場合あり
容量を上げてしまうと基本使用料、電気使用量ともに上がる
○おすすめの使用方法
・部屋の日当たりは偏っているけど、部屋全体を均一に温めたいときなどに適している
床の温度によって電気抵抗が変化するPTCで温度調整をするため、日当たりの良い部分には電力が抑えられる
まとめ
床暖房は、足元から熱が伝わり、冬の室内を快適な暖かさに保ってくれる優れた暖房方法です。
また、ヒーターやストーブで起こる空気の乾燥やホコリも気にせずに済むので、赤ちゃんや高齢者にやさしいのも魅力です。
そんな優れた機能を持つ床暖房にも種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。
リフォームでの導入を検討する場合は蓄熱式は適さないなど、重要なポイントがあるので注意が必要です。
それらをよく理解した上で導入を検討しましょう。