健康食品や「サプリメント」は、ほとんどの人が知っている言葉ですが、実はその用語には行政的な定義がありません。
明確な定義がないため、一般の消費者が認識している健康食品やサプリメントは、通常の食材から医薬品によく似た錠剤やカプセルまで、とても広い範囲にわたります。
では、そのような健康食品の安全性は、どのように確保されているのでしょうか。
また、トクホや機能性表示食品などとはどのように違うのでしょうか。
ここでは、健康食品の位置づけとその表示、選択時・使用時の注意点について説明します。
健康食品の位置づけ
健康食品と呼ばれるものについては、法律上の定義は無く、広く健康の保持増進につながる食品として販売・利用されるもの全般を指しています。
そのうち、国が制度を創設して機能などの表示を許可しているものとそれ以外のものに分けられます。
いわゆる健康食品(以下単に「健康食品」といいます)とは、国が保健効果や健康効果などの表示を許可していない食品(一般食品)をさしています。
ここで、国が制度を創設して機能などの表示を許可しているものとそれ以外のものをあげてみます。
◆ 「いわゆる健康食品」の位置づけ
● 医薬品
● 食品 - 特別用途食品:病者用食品、乳児用調製粉乳など
→特別の用途表示ができる
(消費者庁の審査必要)
- 保健機能食品:特定保健用食品(トクホ)
→特別の用途表示ができる
(消費者庁の審査必要)
:栄養機能食品
→栄養成分の機能表示ができる
(消費者庁の審査不要)
- 一般食品:いわゆる健康食品
→機能や効果の表示はできない
:その他の一般食品
→機能や効果の表示はできない
- JHFAマークを付けた食品:(公社)日本健康・栄養食品協会が認めた食品
品質や製品の企画を保証しているが、効果を保証しているものではありません。
そのため、保健機能食品と違い、○○に効果があるなどの表示はできません。
しかし、安全性の確保という点では、商品の品質規格を保証するJHFAマークは意義のあるものです。
◆ 医薬品と健康食品の3つの違い
私たちが口から摂るもののうち、医薬品(医薬部外品)以外のものはすべて食品に該当します。
● 医薬品
・一定の品質のものが製造・流通
・病気の人を対象にした安全性・有効性試験が実施されている
・医師・薬剤師による安全な利用環境が整備されている
● 健康食品
・同じ名称でも含有量や原材料により品質が一定ではない
・主に健常者を対象に安全性試験を実施している
(動物や試験管内のみで評価したものもある)
・製品の選択・利用は消費者の判断に任されており、自己責任になる
健康食品の表示について
健康食品の普及に伴って、各種広告媒体を使った広告・宣伝も活発に行われています。
ところが、このような広告・宣伝の中には、健康の保持増進の効果等が必ずしも実証されていないにもかかわらず、そうした効果等を期待させる表示(不当表示、誇大表示等)が見受けられます。
これまでに、健康食品の痩身効果をうたう広告の中で、景品表示法に違反するとして、消費者庁から5件が措置命令を受けています。
1.不当な表示は景品表示法により禁止
うそや大げさな表示など、消費者をだますような表示を禁止しています
2.表示には「合理的な根拠」が必要
合理的な根拠がない効果・効能等の表示は、効果があると誤解を招く不当表示とみなされます。
健康食品を利用するときの注意点
1.食品としての安全性について
・食品だから安全、食品だからたくさん摂っても大丈夫というわけではありません。
・同じ食品成分を長く続けてとった場合の安全性は正確にはわかっていません。
2.健康食品としての安全性について
・「健康食品」として販売されているからといって安全というわけではありません。
・「天然」「自然」「ナチュラル」などのうたい文句が書かれていても、科学的には「安全」を意味するわけではありません。
・「健康食品」として販売されている「無承認無許可医薬品」があるので注意しましょう。
・ビタミンやミネラルをサプリメントで摂ると摂りすぎのリスクがあります。
3.健康食品の対象と摂る目的
・健康食品は、多くの場合健康な成人を対象にしています。
高齢者、子供、妊婦、病気の人が健康食品を取る際には、医師に相談するなど注意が必要です。
・「健康寿命を延ばす」効果を実証されている食品はありません。
4.健康食品を選ぶときの注意点
・成分名、含有量、問い合わせ先など表示内容に気をつける
・健康被害が多く見られるケースに、形状が錠剤・カプセル状であること、海外からの個人輸入の場合があります。
・違法品に要注意
5.健康食品を使うときの注意点
・薬のような使い方をしない
・いくつもの製品を同時にとらない
・薬と併用しない
・アレルギーに注意する
・健康食品を利用するときの良い効果と悪い影響を消費者自身で判断する必要あり。
・体調に異常を感じたら、まず摂るのを中止して、健康食品によるものか考える。
具合が悪くなっても、使用をやめるだけで、健康被害が改善されることが多い。
・心配な時は、自己判断せず医療機関で診てもらうことが大切。
その場合は、健康食品(できれば製品名)摂取したことを伝えるようにします。
まとめ
健康な毎日を過ごすために最も大切なことは、健康な食生活、適度な休養、適度な運動です。
優れた「健康食品」でも、利用目的、方法、摂取量に十分配慮しなければ、期待する効果は得られません。
また、口コミや体験談、広告などの情報を鵜のみにせず、信頼できる情報をもとに、本当に必要か考えましょう。