緑内障は、40代以上の日本人の17人に1人がかかっていて、決してまれな病気ではありません。
また、近年では増加傾向と若年化傾向がみられます。
緑内障は、気づかずにほおっておいて症状が進むと、視野が狭くなったり、かすんで見えるなど、困った症状が現れます。
ここでは、緑内障とはどんな病気なのか、どんな症状が現れるのか、またどんな原因が考えられるのかを詳しく解説します。
緑内障とは?
◆緑内障とはどんな病気?
緑内障とは、眼圧が上がるなどの原因で視神経が圧迫されるために、視野が狭くなったり、かすんで見えるという症状が現れる目の病気です。
初期状態は、わずかに視野の一部がかすむ程度であるため、自覚症状はあまりありません。
中期になっても自覚症状がない人もいますが、症状が進むにつれて徐々に視野が狭くなっていき、後期になると視野の多くがかすんでかけてしまうため、ほとんどの人が自覚するようになります。
そして、重症化すると最悪失明する恐れがあります。
緑内障の厄介なところは、痛みなどの自覚症状がほとんど出ない点です。
(緑内障の症状の出かたによっては痛みが出る場合もあり。後述します。)
初期の段階では、視野の一部が少しかすむくらいなので、気がつかないことが多いのです。
ところが、視神経は再生することができないため、一度ダメージを受けてしまうと元に戻すことはできません。
初期の段階で気づかずに重症化してしまうと、その段階から治療を始めても、それ以上症状が進まないようにするしか方法がありません。
ですから、少しでも症状が軽いうちに治療を始めることがとても大事になってくるのです。
(注)急性緑内障発作
一部の重症患者は急激に眼圧が上昇することによって、一時的な目の痛み、頭痛、吐き気、目のかすみなどを自覚することもあります。
これを急性緑内障発作といいます。
◆緑内障の種類
緑内障には、眼圧が高くなって起こるものとそうでないもの、他の疾患によって眼圧が上がって起こるものなど、いくつかの種類があります。
・正常眼圧緑内障
眼圧が正常であるにもかかわらず起こる緑内障で、これが日本人の緑内障の約7割を占める
・原発解放隅角緑内障
眼圧が高くなることで現れる緑内障
・原発閉塞隅角緑内障
隅角と呼ばれる部分が狭くない、閉塞している緑内障
・続発緑内障
何らかの他の疾患によって眼圧が上昇して起こる緑内障
薬の副作用で起こることもある
・発達緑内障
生まれつきの緑内障
緑内障の症状は?
緑内障の以下の症状は、それぞれの症状の重さは場合によって異なりますが、多くの場合全ての症状が両眼にあらわれて進行していきます。
また、緑内障の種類によって症状が進行する早さには違いがあります。
・視野が欠ける、視野が狭くなる
・自覚症状に乏しい
・視力が低下する
・障害を受けてダメージが蓄積すると失明する危険性が大きくなる
欠けた視野は、暗くなったり黒く見えたりするというのではなく、かすんで見えると言う程度の症状として現れます。
しかし、人間の脳は非常に優秀であるため、少々視界が欠けたとしても、正常に見える情報でかすんだ部分の情報を補って認識します。
そのため、本人はかすんでいるということを自覚することが難しいのです。
本人が自覚したときには、脳の補正能力が追いつかなくなるほど深刻な状況にまで進んでいることが多いのです。
緑内障の原因は?
◆眼圧が高くなって起こる場合の原因
緑内障には、眼圧に異常が起こった結果、視神経を圧迫することで起こるものがあります。
では、この眼圧異常の原因は?
・前房内の房水が隅角からうまく排出されないことで、眼球内の圧力が高くなる
ここまでの発症メカニズムは分かっていますが、なぜ緑内障患者が何をきっかけとして眼球内の圧力が高くなったのかという原因までは分からない場合が多い
したがって、患者本人は眼圧が高まっていることを自覚できないだけでなく、その危険性があると考えることも難しいのです。
◆正常眼圧緑内障の原因
正常眼圧緑内障は、日本人に最も多い緑内障です。
正常眼圧緑内障は、眼圧が正常範囲内であるにも関わらず緑内障になります。
眼圧が高くないにもかかわらずなぜ緑内障になるのか、理由は以下の2つが考えられています。
1.通常は眼圧が正常値であるにもかかわらず、不定期的に正常範囲より高くなるタイミングがあるため、そのタイミングで視神経が圧迫されて緑内障を発症する
視神経は一度ダメージを受けると再生することができないため、このように断続的なダメージを受けるだけでも緑内障を発症することがあるのです。
2.視神経がもともと圧迫に弱い体質であるため、正常範囲内の眼圧でもダメージを受けてしまう
視神経の強さやダメージに対する許容量は人によって違うため、正常範囲内の眼圧であれば緑内障にならないというわけではないのです。
また、血縁者に緑内障の人がいる場合には遺伝の要因によって緑内障になる危険性があるため、定期健診を受けるようにしましょう。
この他にも強度の近視、低体温、冷え症、低血圧、頭痛持ちなどの人は統計的に緑内障リスクが高いことが分かっています。
このような人も定期的に健診を受けることをおすすめします。
まとめ
視神経は一度ダメージを受けると再生することができないので、一旦緑内障になってしまうと治療して治すことはできません。
また、原因が解明されていないので、直接的な予防策もありません。
とにかく、緑内障は早期発見して治療に取り組むことが最も大事になってきます。
そのためには、自覚症状がなくても定期的に健診を受けることが、早期発見の近道です。
強度の近視、低体温、冷え症、低血圧、頭痛持ちなどの人も定期的に健診を受けるようにしましょう。
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