血圧という言葉はよく聞いたり使ったりしますが、血圧とは何か、本当にご存知ですか。
また、高血圧の基準値や高血圧の判断基準を知っていますか。
最近、病院や公共施設などのいたるところに血圧測定機が置いてあって、手軽に測れるようになりました。
でも、その数値が正常なのか高血圧なのかわからなければ、測定した効果は半減してしまいます。
まず正常な血圧の範囲を知りましょう。
正常ならば予防の方法を、高血圧の場合は、その対処方法を説明します。
血圧とは?
1.血圧とは?
血圧とは、一言で言うと血管内の圧力で、単位はmmHgです。
血圧は、心臓が収縮して血液を押しだすときに高くなり、拡張して血液の流れが緩やかなときは低くなります。
血液を押し出す圧が最も高い時が最高血圧、血液が緩やかに流れている時の最も低い圧が最低血圧です。
2.血圧の高さの要因
血圧は、心臓が血液を押し出す力と血管の抵抗で決まります。
心臓が血液を送り出す量が増えたり、血管の抵抗が大きくなったりすると、血圧は上がります。
また、血管の弾力性や、血液がさらさらかどうか、そのほか食塩の摂取量等様々な要因が関係しています。
血圧は常に変化しています。
朝起きてすぐは低く、昼間の活動中は上がります。
夜になると下がり、就寝中は最も低くなります。
3.血圧と年齢との関係
血圧は一般的には年齢が高くなると上がります。
ところが、最高血圧は上昇しますが、最低血圧は下がる傾向にあります。
ただし、すべての人が年齢とともに血圧が上がるわけではありません。
高血圧の判断基準は?
血圧は常に変動しており、体を動かしたり、寒さを感じたりするだけで上がります。
このような一時的な血圧の上昇は、高血圧ではありません。
高血圧とは、安静状態の血圧が慢性的に正常値よりも高い状態をいいます。
高血圧の判断基準は、最高血圧が140以上、最低血圧が90以上です。(成人の場合)
さらに、その程度によって以下のように分けられます。
最高血圧 最低血圧
正常血圧 <130 かつ <85
正常高値血圧 130~139 または 85~89
Ⅰ度高血圧 140~159 または 90~99
Ⅱ度高血圧 160~179 または 100~109
Ⅲ度高血圧 180以上 または 110以上
高血圧はなぜよくない?
高血圧の人は非常に多く、日本では1000万人以上が高血圧という調査結果が出ています。
高齢者では、3人に2人が高血圧になっています。
高血圧を放置していると血管や心臓に負担がかかり、自覚症状がなくても動脈硬化や心臓肥大が進みます。
その結果、以下のような重大な病気につながります。
また、最近では、認知症にも関係があることがわかってきました。
1.脳卒中
高血圧によって最もリスクが高くなるのが、脳卒中です。
最高血圧が10mmHg上昇すると、脳卒中のリスクが男性で約20%、女性で約15%高くなります。
脳卒中は、命を取り留めても障害が残るケースが多く、長い間リハビリが必要になってしまいます。
2.心筋梗塞、狭心症
高血圧によって、心臓の疾患のリスクも高まります。
特に、男性は最高血圧が10mmHg上昇すると、心筋梗塞や狭心症の危険度が約15%も増加します。
そのほか、心不全、不整脈、動脈瘤等、多くの循環器病の要因になります。
3.慢性腎臓病
血圧が高いと、腎臓にも大きな負担がかかり、血液中のナトリウムなどの排泄がうまくいかず、さらに血圧が上がるという悪循環を引き起こしやすくなります。
慢性腎臓病になると、脳卒中や心筋梗塞による死亡率も高くなることがわかっています。
高血圧の予防法・対処法は?
1.生活習慣の改善
生活習慣の改善は、高血圧の基本的な予防法・治療法として最も重要な方法です。
具体的には・・・
・塩分制限
塩分制限はとくに重要で、目標は一日食塩6g
食塩、しょうゆを減らす
加工品の塩分に注意する
・野菜、果物、魚を積極的に摂る
野菜や果物はカリウムやマグネシウムを多く含み、血圧を下げる効果が期待できます。
食物繊維は血圧やコレステロールを下げます。
低脂肪の乳製品に含まれるカルシウムは血圧を下げる効果があります。
魚のタンパク質には、体の中のいらない塩分を排泄する働きがあるので、高血圧を予防します。
また、EPA(背の青い魚にとくに多く含まれる)は、血液の流れを妨げる悪いコレステロールや脂肪を減らす働きをします。
・コレステロールを多く含む食材と動物性脂肪の摂取を減らす
直接血圧を下げる働きをするわけではありませんが、動脈硬化の進行を抑える効き目があります。
・減量
肥満の人は、減量により血圧を下げることができます。
食生活の改善と運動の両方でより減量に効果があります
・定期的な運動
運動は減量に効果があるだけでなく、軽い運動を毎日30分以上続けることで血圧を下げることができます。
運動を続けることで、糖分・脂質の減少にも役立ちます。
・アルコールを制限する
少量ならむしろ健康にいいといわれているアルコールも、飲みすぎは血圧の上昇につながります。
・禁煙
喫煙は動脈硬化を引き起こし、血圧も上げてしまいます。
喫煙者は吸わない人に比べて、循環器病・がん・全体の死亡率がそれぞれ1.5倍~2倍になることが分かっています。
禁煙でこれらのリスクが下がるのですから、まだ喫煙している方はぜひとも禁煙をお勧めします。
2.薬剤による治療
生活習慣の改善による治療はとても大切ですが、血圧を下げる効果があまり大きくないこと、続けていくことが難しいという欠点があります。
血圧をどの程度下げる必要があるかにもよりますが、薬による治療が必要な場合もあります。
血圧を下げる薬には多くの種類があるので、医療機関で症状に応じた処方をしてもらうようにします。
まとめ
血圧は、一般に高齢になるほど高くなる傾向にあります。
しかし、日本では、30歳、40歳代の若い世代でも、すでに約半数の人が高血圧になっています。
にもかかわらず、これらの世代は、8~9割もの人が治療を受けていません。
このまま高血圧の状態を放置していると、血管の傷みも進み、高齢になる前に脳卒中や心筋梗塞になってしまう危険性があります。
若いうちは、食生活の改善や定期的な運動など、生活習慣を見直すことで血圧を下げる効果が期待できます。
普段から血圧を測って、正常な血圧を保つように気をつけましょう。