夏バテの予防、解消には十分な睡眠・適度な運動・栄養価の高い食事が主な対策です。
ここでは、そのなかの食事の面について考えてみます。
疲労回復、自律神経の安定、胃腸の粘膜の保護など、それぞれに効果がある栄養素とそれを含む食材を紹介します。
夏バテに効く栄養素と食材は?
夏になると、食欲が落ちてさっぱりしたものばかり食べたくなりますが、それだけだと栄養が偏ってしまいます。
では、どんな食材を使えばいいのでしょうか。
夏バテに効果がある栄養素ごとに食材を紹介します。
●疲労回復にはビタミンB1、B2と炭水化物
ビタミンB群の役割は、エネルギーをつくることです。
ビタミンB1は炭水化物をエネルギーへ、ビタミンB2は脂肪をエネルギーへと換えるのを助けます。
ビタミンB1が不足すると、ブドウ糖がエネルギーに変わらず疲労物質の乳酸となるため、体がだるく夏バテを起こします。
ビタミンB1、B2は水溶性なので、汗をかくと体外に排出されてしまうため、貯めておくことができません。
また、ビタミンB1、B2は相互に働くので、一緒にこまめに摂る必要があります。
その際、エネルギーのもととなる炭水化物も同時に摂ることが大切です。
炭水化物が不足すると低血糖になり、頭がボンヤリするなどの夏バテ症状が起こりやすくなります。
○ビタミンB1、B2を多く含む食材:ウナギ、豚肉、鮭、ナッツ
●アリシン
アリシンには、ビタミンB1の吸収を助け、ビタミンB1の効果を長持ちさせる働きがあります。
○アリシンを多く含む食材:にんにく、ニラ、ねぎ、玉ねぎなど
●クエン酸
酸っぱい食べ物に含まれており、疲労物質である乳酸を分解し、体の外に排出する働きがあります。
○クエン酸を多く含む食材:レモン、グレープフルーツ、オレンジ、梅干しなど
●ナイアシン
ナイアシンは、ビタミンB1と同様に、疲労回復効果がある栄養素です。
体内でナイアシンが足りなくなると、慢性的に疲労を感じたり、精神的に不安定になることもあります。
○ナイアシンを含む食べ物:豚レバー、たらこ、あじ、さばなど
●ビタミンC
暑さや睡眠不足によってストレスを感じると、ビタミンCが消費されます。
そのため、ビタミンCを補給するとストレスが軽くなり、自律神経が安定します。
○ビタミンCを含む食べ物:トマト、ゴーヤー、アスパラガス、かぼちゃなどの夏野菜
●ムチン
ムチンは、暑さなどのストレスで弱った胃腸の粘膜を保護してくれます。
また、たんぱく質の吸収をよくしてくれます。
○ムチンを含む食べ物:納豆、やまいも、オクラなど
●香辛料
暑さが厳しくて食欲がないときでも、香辛料の香りや辛さなどで胃腸が働くため、食欲が落ちるのを防ぐことができます。
○わさび、こしょう、にんにく、とうがらし、みょうが、しそ、カレー粉など
●カリウム
たくさんの汗をかくと、体内からナトリウムとカリウムが排出されます。
カリウムは体内の余分なナトリウムを調節する働きがあるため、ナトリウムの過剰を防いでくれます。
ナトリウムは、加工食品にも含まれているため極端に不足することは少ないのですが、カリウムは意識して摂らないと不足がちになります。
○カリウムを多く含む食材:トマト、きゅうり、スイカ、海藻など。
まとめ
夏バテ予防と回復には栄養バランスのよい食事で体力をつけることが基本です。
栄養価の高い食品を、少量でもよいので1日3回の食事できちんと摂りましょう。
その中でも、特に夏バテの対処に効果がある食材を、意識して摂るようにすることが大事です。
「土用の日にうなぎを食べる」というのは昔からの習慣ですが、理にかなっているのですね。
夏バテに効く栄養素と食材を組み合わせて、おいしい食事で夏バテを解消しましょう。